基本の徹底にこそ可能性がある

 PDCAなんて手垢のついた言葉だと思う人もいるかもしれませんが、そんな人でもPDCAの重要性を否定することはないでしょう。それだけ基本の考え方ということになると思います。

 では、その基本をどこまでやれているのか?という点を振り返ってみれば私個人としては確実に漏れなくPDCAができているとは言い難いところがあります。

 「振返りのコストをすべての業務に費やせられるのか?」「その時間に見合う何かがあるのか?」というのはおおむね建前で端的に言って「面倒だ」となってしまいがちです。その結果とこうしたPDCAサイクルは横においてしまわれます。

 もちろん、私だって怒られたくないので重要な仕事の指標はチェックしているつもりです。あれ、でもそれだと重要でない仕事を変わらない手間をかけてずっとやっているってことだったりしますか?

 ということは、やっぱりめんどくさがらず、もれなくだぶりなく(MECEに)やらないといけないわけです。じゃないと間抜けっぽいですね。いやいや、面倒くさい分は自分の伸びしろと思って頑張りますか。

フェーズの違いを意識する

 PDCAはここでは「PLAN-計画」「DOー行動」「CHECKー検証」 「ADJUSTー調整」の4つとして、全体としては「前進を続けるためのフレームワーク(P.4)」というように紹介されています。

 この本の中では前進するための工夫も多く書かれているのですが、特に印象が残るのはひとくちにPDCAと言っても様々な局面があるということです。PとDとCとAが違うのはそうなんですが、計画があればすぐ行動できるのか、計画がどの程度のキメまで磨かれているか、というのがポイントになります。また、Pそのものも何故それを目指そうとするのか、仮説の立て方はどうだったのかなどなど。

 考え始めるとキリがなさそうですけれど、列挙した中から実行に移す部分は効果のありそうなものを選びながら進んでいくことになります。視野を広くとったうえで選別する、という流れをとることはうまくいかなかった時のバックアップにもなるので無駄ではないでしょう。

 実際にPDCAを始める際には以下のような流れになっています。

①ゴールいつまでにどんな状態を目指すか。「来期売上20%増」など
②ギャップ現状とのギャップを埋めることがゴールに直結。
③課題ギャップを埋めるための課題を考える。無数にある中から重要度などで選別する。
④KPI選んだ課題を数値化する。チェックする基準になる。
⑤解決案それぞれのKPIにたいして具体的な行動に落とし込む。ここも複数のアプローチの仕方があるはずなので書き出して選別する。

 とにかく何をするか決めたらいいんだろ、というだけではなくてこういう段階ごとに合わせた考え方があるというのがポイントです。

 たとえば「数値化」ということはよく言われますが、数値化しないフェーズも用意されています。そういう細かいことを考えることで思考が狭くならないようにしているからですね。

 課題の場面ではどう実現するかは特に考えずにまず洗い出す。もちろんゴールとの結びつきを忘れてはいけませんが、その枠内ではとにかく自由に考えたうえで選別することで広い視野と現実的なステップへの折り合いをうまくつけていると思います。

とにかくやる!為のショートサイクル

 最初に「前進を続けるためのフレームワーク」という言葉がありましたが、実践につながらないと当然意味がありません。PDCAを早く回す、というと検証が多くなって実際のDOが減ってしまうのではないか、というリスクを感じる方もいるでしょう。

 けれどもこの本の「鬼速PDCA」は短いサイクルで回すことを提唱しています。実際、定例ミーティングを週に2回30分ずつしているというのだからかなりショートサイクルですね。

 では、それで滞っているのかどうか、という点で言えば先ほどの解決案、KPIがしっかりできていれば、「進捗は予定通りです」で終わらせるというので、これはまさにそのための数値化だと思う。数値目標がしっかりしていれば、モチベーション的にもよいだろうけど、それ以上にチェックを簡略化することにもつながります。

 その基本ができてないとそもそもショートサイクルは破綻してしまいそうだけれど、ショートサイクルは単に早く回るという以上に、「間違ってもすぐにやり直せる」という点が強いんです。

 PDCAの行動までの落とし込みには二重三重に仮説を立てることになる。ここで間違えたくないからと言って、考えすぎるとかえって物事は動きません。仮説は仮説として「間違ったらやり直す」という前提であればもう少し動きやすくなるはずですよね。

 失敗にたいしてオープンに受け止める、ということはよく言われるけれども、失敗してもリカバリーできるかどうかは早期発見が一番でしょう。この視点で改めてみるとショートサイクルのPDCAはむしろ、行動を強く推進するためのものだということがいえるでしょう。

 さてさて、こうやって書きだすとやらない理由があまりないので、あらためて自分のゴール(仕事もプライベートも)について書き出すところからはじめないとですね。そのためには、まずは課題として定時に帰って時間の確保から、ということで今回はここまで。

 長文乱文失礼しました。最後まで読んでいただきありがとうございます。

『鬼速PDCA』著:冨田和成