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2022年3月7日08:30 [会計税務]
「適格請求書等保存方式」いわゆるインボイスの導入は
消費税額控除を認めるために必要な条件に「決められた様式の請求書」の保管を求めるものです。
影響の仕方はそれぞれですが、ほとんどの方に影響があります。
今回は特に免税事業者がインボイス導入にともなって、課税事業者になるべきかどうかについて考えたいと思います。
現状では、課税売上が1,000万円以下の事業者は消費税の納税義務者でなくてもよいということになっております。
住宅の貸付や、土地の売却、貸付の利息などいくつかの非課税項目はありますが、
それ以外の売買、サービスの提供は課税売上だと考えて下さい。
インボイスの導入が始まってもこの基準自体は変わらないのですが、
取引先からはインボイスの提出を求められる場合があります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/300416.pdf
(国税庁インボイスリーフレット|2Pに様式の詳細)
課税事業者でないと登録できない課税事業者の登録番号があるので、
免税事業者のままだとインボイスは発行できません。
インボイスを発行できない場合は、取引相手は消費税を控除できなくなります。
しかし、免税事業者は消費税を納めていないのですから、
納めてない消費税は控除できないという原則に従った処理になるだけとも言えます。
法律的には免税事業者のままでも、課税事業者になっても特にかまわないという状況です。
では何を基準に考えるべきかというと、
第一に継続的な取引相手に課税事業者がいるかどうかです。
喫茶店をやっていて時々会社の人が使用されるような場合、
インボイスをくださいと言われるかもしれませんが、
そういう時まで無理に対応するために導入されているわけではありません。
うちは免税事業者なんですと、答えてもらって終わりになると思います。
ほとんどの相手が個人客で、
法人相手に請求書を切るのがたまになら免税事業者のままでよいでしょう。
では、ここで取引相手が法人メインだった場合、どうなるでしょうか。
この場合もすぐに課税事業者になるというよりも、
いったん取引先と相談するべきでしょう。
免税事業者のままでは取引しないと言われる場合がないとは言えないのでそこをまず確認しましょう。
また、相談した結果、免税事業者のままだと値引きで、
課税事業者ならそのままの条件と言われるなら、
消費税の負担が値引きより低いか高いかを確認する必要があるでしょう。
消費税課税事業者になった時にどのくらい消費税の負担が出てくるかは
課税売上が5,000万円以下なら使える「簡易課税制度」の計算式で計算するとよいと思います。
事業区分ごとに売上に対する仕入れ率が決まっているので、
売上に掛け算するだけで計算できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm
(国税庁|簡易課税制度)
仮に自動車の修理業であれば、第5種のサービス業にあてはまります。
第5種のみなし仕入れ率は50%なので、
仮に売り上げが年間900万円(税抜)だったらこのようになります。
また、不動産のオーナーで住宅の賃貸のほかに倉庫貸しを行っているような場合は
住宅の売上は非課税ですが倉庫貸し部分が課税になります。
倉庫の貸し付けは第6種の不動産業で、みなし仕入れ率は40%です。
仮に売り上げが500万円(税抜)だったらこうなります。
大きな課税仕入れなどあれば簡易課税ではなく、
本則課税の方が有利になることはありますが、
継続的な取引のシミュレーションとしてはまずは簡易を目安にするとよいでしょう。
(詳しく考えるためには個別の状況の確認が多くなるので、顧問税理士などにご相談ください)
インボイスの導入は令和5年(2023年)10月1日に始まります。
このタイミングで課税事業者になるには令和5年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。
つまり、あと1年と一か月以内でタイムリミットが来ます。
もちろん、その後からでも課税事業者の届け出は可能ですが、
導入時点でインボイスの発行ができないということになってしまいます。
取引相手との相談ということを考えると、
ギリギリに話し合うのは手が打てなくなってしまうかもしれませんので、
免税事業者の方で、法人取引がメインの方は
そろそろシミュレーションも含めて動く時期ではないかと思います。
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